保団連原発問題学習交流会(4/24)報告『女川原子力発電所30Km圏内自治体にある医療機関・介護施設等に対する避難計画についてのアンケート調査から見えてきたこと』


保団連原発問題学習交流会報告
『女川原子力発電所30Km圏内自治体にある医療機関・介護施設等に対する避難計画についてのアンケート調査から見えてきたこと』

公害環境対策部長 島 和雄

 4月24日、保団連原発問題学習交流会報告会が東京にて開催され、当協会からは標記について発表した。以下、若干の感想を加え報告する。

160424島和雄保団連原発問題交流会 福島第一原発事故で明らかになったように、過酷事故の際、入院患者や介護・福祉施設利用者等いわゆる災害弱者の避難は想像以上に困難となる。
 昨年7月、女川原発UPZに立地する医療機関・介護福祉施設等113件に対してのアンケートは、回収率58%、66件の回答を得た。そのうち65件では避難計画を持っておらず、しかも県並びに管轄自治体からの働きかけもほとんど無いと言う実態が明らかになった。
 この調査をもとに内閣府特命担当大臣(原子力防災)、宮城県知事、宮城県議会議長並びに議員、UPZ自治体の首長並びに各市町議会議員に対して意見書を提出した。詳細については協会ホームページをご参照頂きたい。

 まず、原発立地県にとって大きな問題は事故による放射能の被害である。勿論、テロも考慮しなければならない。いずれにせよ根本対策は廃炉以外にはないと考える。
 我々の避難計画についての意見は、今ある原発を廃炉にし、その危険性がなくなるまでの間に起こりうる全ての事故に対応すべく、県並びにUPZ自治体に積極的かつ具体的な関与を求めるものである。間違っても原発再稼働のために策定されるものではないことを強調したい。

 そもそも個々の医療機関・福祉施設等での具体的な避難計画は、所属地域の自治体で策定された計画に基づいて考えられるのであって、国は県に、県はUPZ自治体に対し、それぞれの立場から計画を示し、充分説明されなければならない。民間の機関・施設が単独でできることではない。
医療機関・福祉施設等は入院患者や施設利用者の安全を守る立場から、国・県・自治体に対し役割を果たすよう求めなければならないと考える。
国・県・自治体は、他県、他地域自治体と具体的な連携を図り、避難先、避難路や避難方法、手段等についての要件を提示すだけでなく、どの医療機関・施設は何処の避難先に向けて、どの径路をたどり、車輌であればどの様な車輌を何台準備して置くのか、ガソリン等の確保は充分か、どの様な順番で、誰が誘導するのか等について、医療機関・施設等と一緒になって、より具体的に策定していく必要が有る。さらに、医療機関・福祉施設等に対し避難計画策定とそれに伴う整備について、補助金等充分な手当を保障しなければならないと考える。
 国・県並びにUPZ自治体は、この点が約束されない限り原発の稼働を許可してはならない。むしろ廃炉に向けて検討すべきである。

 以上、保団連原発問題学習交流会報告会において、当該機関・施設等に対し避難計画策定に置いてどのような条件が整えばそれぞれの避難計画策定が可能か、国の有るべき対応も含め、県・自治体はどのように対応すべきかなどについて、意見聴取も含めた調査を行うこと。自治体の策定すべき「原発過酷事故時に対する避難計画」に関しては、他団体もアクションを起こしているが、当協会はそれらの団体、グループとも連携して当問題に対応していきたいことなどを加え報告した。150527原発問題交流会2:2

This entry was posted in 公害環境対策部. Bookmark the permalink.

Comments are closed.