シリーズ「女川原発廃炉への道」No,35


シリーズ「女川原発廃炉への道」

大都市原発建設再考

副理事長 島 和雄

 岸田政権は脱炭素の実現に向けて議論する国のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議に対し、原発の新増設や建て替え、60年を超える運転などについて検討し、年内に具体的な結論を出すよう求めた。
 新増設については次世代型原発として「小型モジュール炉(SMR)」が考えられている。特徴は小型(約70kw〜30万kw)のため冷却がしやすく、規格化された部材を工場で生産し、さらにユニット化して現地に運び、いわばプレハブ建築のように設置するので、工期の短縮、コストの削減、高品質管理などが可能になると資源エネルギー庁では説明している。
 ならば、提案したい。
 東京のど真ん中、例えばオリンピック会場跡地やその地下などにも建設が可能になるのではないか。高層ビルの地下にも建設できるし、冷却には空冷も可能と言うことなので、水辺に建設する必要も無く、場合によっては免震ビルの屋上にも建設できる。1万kw程度のSMRを100基繋げれば通常の原子力発電所並みとなる。
 現在使われている交付金や補助金も高価な地代の支払いに活用できる。核発電の外部化、つまり都市部が払うべき危険性を経済の弱っている地域に押しつけることは、不要になる。利益追求を中心とした新自由主義的政策から見ても、都市原発建設は民活利用に打って付けではないか。であるとすれば、計画をへき地から都市部への核発電所建設にシフトして議論しても良いのではないか。
 以前にも言われたことではあるが、次世代型原発は次世代の多く住む都市部に建設すべきであると提案する。
 しかし、核の持つ本質的な危険性も含め、放射性廃棄物や使用済み核燃料などの処分問題は解決してはいない。大きなマンションから戸建てになってもトイレがないのは変わりない。
 それにしても新増設・建て替えなどは想定しないとしてきた政府が、なぜこれほどまでに「原発=核発電」に固執するのか。なぜGXと銘打っているのに、再生可能エネルギーに活路を見いださないのか。

 

本稿は宮城保険医新聞2022年10月25日(1796)号に掲載しました。

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