シリーズ「女川原発廃炉への道」
原発事故の備えと考え方の覚書
医科・山元町 齋藤 佐
2.「予防策は効果不明で採る安全策」これに効果の証拠は不要、伝承・検証は必要。阪神淡路大震災の伝承で、「孤立死」の予防策は訪問支援・「社交の処方」。巨大津波が貫いた中浜小学校で、屋根裏立てこもりで死が防げたのは、明治三陸津波・その結果で37年後の昭和三陸津波・チリ地震津波の伝承によるかさ上げ改築による。
3.「大災害は精神を破壊する」深刻な「さようならのない別れ」で、行方不明者の捜索は必死。病院は救護者に部屋を用意し、名簿で問合せに対応。「記憶は逃避/戦闘を呼び覚まして命を守る」のでPTSDには避難訓練。大事な/身近な人を亡くした『生存者の罪悪感』は「良心の呵責」、『死にたい』は「幸せになりたい」、「依存症は溺れそうな時の浮き輪」と、人間性を汲んで大事に育て、医療に導けるのは保健師。その燃え尽きを防ぐのは増員。医師は、危険な飲酒の害と保健所の依存症教室を知らせ「答えは当事者の中にある」と待つ。
4.「あだ名は人権侵害を生む」『フクシマ』では、避難の権利や貧しい保健・福祉の強化が蔑ろに。
5.「存続する共同体は弱者を共有する」弱者を担う意志が乏しい人をリーダーに選んではいけない。
1.「原発事故は立てこもり」が南相馬市立病院の教訓。備えは、ヘルメット・USBヘッドライト・ブルーシート・養生テープ、灯油・ストーブ・水を配るペール・杓子・飲用水・室温可の食料、N95・ゴーグル・手袋・雨カッパ・安定ヨード剤、空調フィルタの保守・点検。
本稿は宮城保険医新聞2021年6月25日(1753)号に掲載しました。