2020年7月 理事長挨拶


(2020年7月)

医療者は女川原発再稼働を許しません

理事長 井上 博之


 女川原発2号機の再稼働をめぐって、またもや信じられないような出鱈目な話が進んでいます。
 宮城県は5月に、重大事故を想定した避難時間を試算したところ、5キロ圏の住民避難に最悪の場合5日半かかると発表しました。ところが、その1か月後、政府の原子力防災会議が、20万人を移動させる女川原発の避難計画を了承しました。手続きの一つが進んだとみなして、今後、県は住民説明会を開くとのことです。県民の安全確保の見通しもないまま、再稼働へ突っ走ろうとしているように思えてなりません。
 当会は、2015年、2016年、2018年の3回にわたって、30キロ圏内の医療・介護施設に対して、避難計画についてのアンケート調査を実施しました。その結果、入院患者や要介護者などに対する実効性のある避難計画は不可能ではないかと結論付けました。避難が困難であるだけでなく、時間がかかり過ぎるため、長時間の被曝リスクにさらされてしまいます。
 このような危険性を無視してまで原発を再稼働させなければならないのでしょうか。住民の命と健康を最優先する医療者としての答えはNO!です。
 いま、会員の「女川原発2号機の再稼働反対署名」を実施中です。添えられた意見の一部を紹介します。

 「女川原発から30㎞に私の病院があります。福島の事故の際の病院の惨状を思い出すと、再稼働絶対反対の想いを強くします」
 「原発は子孫に負の遺産を押し付けるもの。福島原発事故の収束もできず、新たな稼働などとんでもない」

 女川原発は東日本大震災の被災原発です。過酷事故と紙一重の状況であったことが分かっています。将来のエネルギー需要を見越しても、そのような原発を再稼働させなければならない必要性はみじんもありません。
 宮城県保険医協会は、女川原発2号機再稼働に反対する、広範な県民の皆様と手を携えて、廃炉を求めて運動を進めてまいります。

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